心臓に悪い場所

近くに新しく図書館が出来たので行ってみた。幸運なことにTUTAYA図書館ではない。
僕は本が好きなのだけれども、大人になってからは図書館で本を借りるということをしたことがない。
理由はいくつかあって、その一つは僕の普段の行動範囲内に図書館がなかったというせいだ。
二つ目は、図書館で本を借りて読む場合、その本の作者には一円もお金が入らないということである。これは古本を買う場合にもいえることだが、絶版になって新刊として手に入れることができない場合は古本を買うのはいたしかたないと思う。が、しかし、新刊で手に入れることができる場合は作者に何らかの還元をしたいという意味も含めて本を買うことにしている。今は本の値段も上がってしまってきているが昔であれば食事を一食抜かせば文庫本の一冊くらい買うことはできた。僕にとっては本を読むということと食べるということはほぼイコールに近いのである。
三つ目は、所有欲というものがあり、読みたい本は自分の手元においておきたい、ということだ。
そして最後、実はこれが一番の問題なのだが、本を借りた場合、一定期間経過すると読んでいようが読んでいまいが、返さなければいけないということだ。そもそも読みたい本の多さに比べて読む速度というのは追いついていない。なので積読になったままの本は3桁にも及んでいる。電子書籍でも読むようになってからは買う本の量が増えて積読の量も着々と増え続けている。そこに図書館で借りるという選択肢が増えるとなると、結果は目に見えていて、借りても返却期限までに読み終えることができない可能性が高い。
とはいえども、行動範囲内に図書館ができたとなると、最初に挙げた問題、近くに無いという点が解決されてしまう。新刊では手に入れることができなくて、古本でも手に入れることができない本を借りるという行為が可能となる。
ある意味禁断の手段に手を染めてしまったという気もしないでもないが、先に上げた条件に一致した本だけを借りるということであればなんとかなりそうな気もする。あとは自制心だけが頼りだ。
ということで早速図書館へ行き、物色してみた。
筑摩書房から出ていたトーベ・ヤンソンコレクションが揃っている。都筑道夫時代小説コレクションもある。買ったまま積読状態の式貴士の『虹のジプシー』が置いてある。最後に挙げた本は別として、借りるのではなく売ってくれといいたくなってしまった。
ああ、なんて心臓に悪い場所なのだろう。この場所は。

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