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- 『営業ものがたり』西原理恵子
『上京ものがたり』『女の子ものがたり』と続く<ものがたり>シリーズの三作目……といふうにも見えるけれども、中身は全く違う。
『上京ものがたり』や『女の子ものがたり』に関する文字通りの西原理恵子自身による営業の話なのだ。『鳥頭紀行』などに代表される毒々しさとふてぶてしさ満載のエッセイとほぼ同じでそこには『上京ものがたり』などでみせたペーソスなどみじんもない。ここまで作者自身の人物像と描かれる作品とがかけ離れているのは珍しいかもしれないが、しかし、そう見えるのは表面的な部分しか見ていないからだ。西原理恵子の作品を読めば読むほど、西原理恵子がどんな作品を描いたとしてもそれは作者自身の人物像とかけ離れてはいないことが見えてくる。
しかし、それはそれとして、ふてぶてしさ満載の営業話の後に突如として、浦沢直樹の『PLUTO』に対する西原理恵子の返歌、あるいは西原理恵子版『PLUTO』である「うつくしいのはら」という短編が
現れると、いくら西原理恵子がこういう漫画を描くということを知っていたとしても驚かされてしまう。「うつくしいのはら」は確かに西原理恵子生涯の最高傑作である。浦沢直樹が『PLUTO』を描かなかったとしたらこの作品は生まれなかったかもしれないことを思うと、浦沢直樹に感謝したい気持ちだ。ねえ おかあさん
ぼくたちは
いつになったら
字をおぼえて
商売をして
人にものをもらわずに
生きていけるの。
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