『スーパーマン・フォー・オールシーズン』ジェフ・ローブ、ティム・セイル

  • 訳: 中沢俊介
  • 著: ジェフ・ローブ、ティム・セイル
  • 販売元/出版社: 小学館集英社プロダクション
  • 発売日: 2013/5/29

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絵柄が好きになれなかったので見送るつもりだったんだけれども、だって、表紙の絵のスーパーマンはなんだかもちもちっとした巨漢で、ちょっと僕のイメージするスーパーマンとはかけ離れていたからだ。
しかしどうもこの話、傑作らしい。ということで、書店に行ってあったら買おう、なかったら読むのはよそう、と思い、行ってみたらあったので買ってしまった。
で、結論から言えば、絵柄が好みに合わないってのは全く無視できた。
それどころか、この絵柄でなければこの全体を流れる牧歌的な空気感は出せなかっただろうし、多分、スーパーマンというのは本質的にこんなスタイルでありこんな雰囲気なのではないのだろうか、などと思ってしまったくらいだ。
春夏秋冬という四つの季節に対応した四つの物語、それぞれが成長、挫折、再生といったテーマと合致して、とにかく読んでいて涙が出てくる。スーパーマンの物語を読んで涙がでたのはこれが初めてだ。
スーパーマンことクラーク・ケントの育ての親であるケント夫妻はクラークに対して惜しみない愛情を注いでいるが、しかし、最初から愛情のみだったわけではなく、彼らには彼らの、地球外生命体であるクラークに対する戸惑いや畏怖、悩みがあり、クラーク自身も悩みながらも同時にケント夫妻も悩みそして成長していったのである。
と同時に、スーパーマンといえば宿敵であるレックス・ルーサーも登場するけれども、彼もまた純粋な悪ではなく、彼なりの悩みを持っていてそしてそれゆえにスーパーマンと対立をせざるをえない状況になっていったのだ。
正直言って、アメコミでこんな物語を物語ることができるのだということに驚いたのだが、こういう物語が世にでるのであれば、フィリップ・ワイリーの『闘士』も復刊されてもいいんじゃないかと思った。ちょうど、『マン・オブ・スティール』も公開されることだしね。

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