二十数年ぶりに新作が書かれたということで、これは読めということと同じだなと思い、シリーズの第一巻をまず読んでみた。
幸いなことに、全巻電子書籍化されているので気軽に読むことができる。
で、内容の方も気軽に楽しむことができるのだが、今あらためて読むとさすがに古びている部分もあるのは仕方がない。
本当は元ネタとなっている007シリーズの方も合わせて読んだほうがいいのかもしれないが、この本を読む限りではタイトルがオリジナルの小説の題名をもじっているだけで、内容に関しては基本設定以外、あまり関連性はなさそうだ。ただし、ネットを調べてみると、007シリーズを翻訳した井上一夫の文体を真似て書いているらしい。
東郷隆の作品はそれほど読んでいなく、数少ない読んだ本もシリアスな話ばかりだったので、東郷隆の書くコメディがどんなものかという不安も少しあったが、実際に読んでみると東郷隆のコメディの質は僕の好みの範囲だったので心配することはなかった。
ただ、東郷隆は博学の人らしく、コメディを書いてもそこに盛り込まれた大小さまざまな作者の生真面目さを表しているかのようで、文体を真似しているあたりを含めて、才人だなあと思うのだ。
コメント