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- 『ブラック・ホール』チャールズ・バーンズ
オルタナティヴ・コミックというものがある。
といってもこの言葉、この漫画で初めて知ったのだが、アメリカにおいて、それまで僕はアメリカの漫画というのはひとくくりにアメコミと言ってしまっていたのだが、そうでもなくって、スーパーマンやバットマンが登場する漫画とは別に、オルタナティヴ・コミックと呼ばれるジャンルの漫画が存在している。
市場規模でいえばアメコミがメジャーであってオルタナティヴ・コミックはマイナーな感じになると思うのだが、そう考えると、このオルタナティヴ・コミックは日本でいえば『ガロ』系の漫画になるのかもしれない。
性交渉によって広まる謎の奇病。それはティーンエイジャーだけが発症する。直接死にはつながらないものの、その奇病は感染者の肉体を変貌させる。ある者はイボのようなものができ、ある者は尻尾が生え、ある者は喉にもう一つの口ができる。どんな形で発症するのかは個人個人で異なるのだ。
そのような事態の中、物語はとある高校の一部の生徒の間だけの話に終始する。これだけの事態になっていながらも、物語の中では国家レベルでの対応とか、社会の様相などはまったく描かれない。奇病そのものが問題なのではなく、あくまでそのような事態の中での個人レベルの問題、それは、誰それのことが好きとか誰それのことが嫌いという恋愛の話だけしか描かれない。しかも登場人物たちはみな、恋愛に奥手な人物ばかりなので、うじうじと恋愛問題のことで悩んでいるばかりなのだ。まあ、病気のこともちょっとは悩むのだけれども。
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