唯一無二

持っていたことさえすっかり忘れてしまっていたリッキー・リー・ジョーンズの『The Magazine』
リッキー・リー・ジョーンズから一枚選ぶとすればファースト・アルバムかセカンド・アルバムだろうけれども、僕が初めて買ったリッキー・リー・ジョーンズのアルバムは4番目のアルバムになるこの『The Magazine』だ。
どういう経緯でこのアルバムを買うことにしたのかは今となっては思い出せないのだが、新譜として発売されたばかりのこのアルバムをレコードショップの店頭で見かけて直感的に買ったのか、それともFMラジオで流れたのを聴いてそして買ったのか、あるいは雑誌のレビューを見て買ったのか、そのどれかだったのだろう。そうでなければファースト・アルバムの方を買ったに違いないからだ。
おおよそ30年ぶりくらいに手にとったリッキー・リー・ジョーンズのこのアルバム。すでにどんな曲が収録されていたのかすら思い出すことは出来ない。年は取りたくないものである、といいたいところだが、25年ぐらいのブランクはあるはずなので忘れてしまっていてもしかたがない。
youtubeで調べて聴いてみると、あの時のことが思い出される、いや、そうではない。あの当時、よく聴いていたこのリッキー・リー・ジョーンズの曲が頭のなかに蘇ってくる。
そうだ、この曲だった。
「Prelude To Gravity」から始まって「Unsigned Painting/Weird Beast」で終わる。どの曲もよく聴いたものだ。
時として少女のような、時として甘えるような、あるいはあめ玉を転がすような歌い方をする。
このアルバムは世間の評価は今ひとつだけれども、僕にとっての初めてのリッキー・リー・ジョーンズだった。しかし、ここからファースト・アルバムを買うという方向へとは進まなかった、
そもそも当時はネットなどなく、情報が少ない時代だったので、音楽に関しては広く浅くだった僕は、リッキー・リー・ジョーンズに関してはこれだけで終わりになり、リッキー・リー・ジョーンズの歌を聴くということも忘れてしまった。
時代が流れ、LPレコードが無くなりCDへと移ってから、ファースト・アルバムを買ったのだけれども、当時もまだネットなど無かった時代だったので、それっきりになり再びリッキー・リー・ジョーンズの歌を聴くということも忘れた。
そして三度僕はリッキー・リー・ジョーンズの歌を思い出した。
初めて聴いてから31年ぶりのリッキー・リー・ジョーンズの歌声は、ようやく心地よく、自分にしっくりと来る感じとなった。リッキー・リー・ジョーンズの良さがわかるようになるまでに31年もかかったのかといいたいけれども、相手は唯一無二の歌声を持つ彼女なのだから仕方がない。

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