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- 『フンティーとレポンちゃん』いがらしみきお
いがらしみきおが、かつては下品な漫画で一世を風靡していたことを覚えいる人は少なくなってしまったのではなかろうか。特に、人気絶頂のときに休筆宣言をして二年間休筆したことを知っている人も少ないだろう。そしていつのまにか、休筆前の活動期間よりも復帰後の活動期間のほうが長い月日となり作品数も増えてしまった。かつてはギャグ漫画家であったけれども、最近では『ぼのぼの』に代表されるほのぼの系と、ホラー系の漫画を描く漫画家として知れ渡っている。そんな中で一作を選ぶというのは無理があるので二作品を選んでみた。『ぼのぼの』は四十巻近く出ているのでいまさらという人向けに『フンティーとレポンちゃん』。これは一巻で完結していて、いがらしみきおのある一面が前面に出た作品だ。主人公を除けば総勢26人ものキャラクターが登場するけれども、全員1話限りの登場という見事なまでのキャラクターの使い捨てっぷりも素晴らしい。そもそも、フンティーは子犬、レポンちゃんは人形なのだけれども、レポンちゃんのすぐ隣にはレポンちゃんを10分の1にしたくらいの小さなレポンちゃんがいて、さらにその隣には一回り小さなレポンちゃんがいる。3人でというか3体でレポンちゃんというシュールさも素晴らしい。しかし、その3体で一人のキャラクターという設定がなにか重要な役割をもっているのかといれば、ほとんど何ももっていない。意味を持たせようとすれば持たせることができるのにそんな意味など無意味だといわんばかりの空っぽさは、純粋さの現れでもあるのかもしれない。
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