週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 10/99

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  1. 『マドモアゼルモーツアルト』福山庸治
    もしもモーツアルトが女性だったとしたら。という大胆な発想のもとに描かれた漫画がこれ。だからといって実際のモーツアルトという人物がどういう人物だったのかを知らなくっても全然大丈夫である。逆にモーツアルトという人物がどういう人物だったのかを知っていればいるほど福山庸治が描いてみせたこの大胆な発想のほうが真実ではなかったのかとさえ思わせられる。
    福山庸治というと不条理でシュールな展開が特徴のひとつで、それ故に人を選ぶきらいもあるのだが、この作品は少し抑え気味なので嫌いな人でも大丈夫だ。
    女性として生まれたモーツアルトは彼女の音楽の才能を見出してしまった父親によって男性として育てられてしまう。モーツアルトの才能を妬むサリエリや、モーツアルトに求婚する女性たち。そして事もあろうにモーツアルトは結婚までしてしまうのである。音楽を奏でるシーンはそれほど多くはないのだが、逆に、音楽の無いシーンにおいても背景の向こうから音楽が聞こえてくるような感覚さえ生み出す構図とコマ割りはそこで語られる物語以上に読んでいて、いや読むことの楽しさを味あわせてくれる。
    オリジナルは全3巻だが後に一冊にまとめられた箱入り豪華版がでている。

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