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- 『へんなねえさん』吉富昭仁
まず、最初にナルシストの女子高生の話が始まる。
ナルシストな彼女の部屋には大きな姿見があるのだが、この姿見は24時間前の自分の部屋につながっている不思議な鏡だ。
で、この鏡を使って彼女が何をするのかといえば、24時間前の自分に会いに行ってそしてエッチな事をするのだ。自分自身とエッチな事をするというのは自慰なのか自慰じゃないのかよく分からないという以前にくだらなさすぎる展開なのだが、その次の日は何をするのかといえば24時間先の自分がやってくるので同じようにエッチな事をする。そんなバカバカしい話でありながら、授業で行われた抜き打ちテストの答案を過去の自分に渡すということはちゃっかりしているのだが、この答案は未来の自分からもらった答案である。ではこの答案はいったいだれが書いたものなのだろうかというタイムパラドックスも抜け目なく描いている。
続く次の話は、透明になることのできる薬を手に入れた少女の話。この薬は効果時間の異なる何種類かの薬に分かれていて、彼女はその組み合わせによって好きな時間だけ透明になることができる。
で、透明になって何をするのかといえば、全裸になって町をうろつくのだ。
表題作は、ある日我が家にお姉さんがいることに気づいた少年の話。自分の記憶に間違いがなければ今まで15年間、自分には姉などいなかったはずなのに、何故かいる。両親も当たり前のようにその姉を家族として接しているし、過去のアルバム写真を見ると、小さいころの自分と姉が仲良く一緒に写っている写真が何枚もある。姉などいないと思っていた自分のほうが間違いなのだろうか。
数日後、全裸に近い格好で眠っている姉の背中にジッパーがあることに気づく。おそるおそるジッパーを下げ中を覗いた少年の驚きの顔で終わるページ。次のページをめくると、翌朝少年が目覚めた場面で、全ては夢だったのかと安心しつつ居間へ行くと姉はいた。姉の存在だけは夢ではなかったようだ。
どの話もエッチな女の子がでてきてエッチなことをするけれども、ちょっとだけ不思議なことがある。
ちょっとだけ不思議な部分を見なかったことにすると、読む必要もないほどくだらないというかこの作者、どっか頭がオカシイんじゃないかと思いたくなる話なんだが、読み進めていくと、バラバラだった話が一つにまとまり、想像の斜め上をいく思いもよらない展開になっていく非常に凝った構成なのだ。もちろんその驚きの展開もどっか頭がオカシイんじゃないかっている展開なのだが。
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