この本は、書店で見かけた時に面白いに違いないという直感が働いた。
僕は書店に行くと、ひと通りぐるりと店の中を回る癖がある。癖があるというよりも、ぐるりと廻ることで、普段、自分が読む機会のないジャンルの本を目に止めるためだ。ネットの書店だとなかなかこういう事ができなくって、いや、かたっぱしからリンクをクリックしていけば可能なんだけれども、それはめんどくさい。書店で通路を一筆書きをするような感じで歩きまわれば面白そうな本の場合、自然と目に入ってくる。
この本はハードカバーなので、いくら面白そうだといっても物理的に本の収容場所が乏しい僕の場合、躊躇してしまう。いずれ文庫化されるかもしれないからその時でいいかなと思っていたら、たまたま見ていたテレビ番組でこの本で描かれている会社の社長さんが出ていた。
その番組の中で印象に残ったのは、この社長さんの、「私達は遺族の方に悲しんでもらうために仕事をしている」という言葉だった。
この言葉を聞いて僕は、なんてこの人は強い人なんだろうと思った。
で、この本にますます興味が出てきたのだが、これまたうまいタイミングで電子書籍化された。
異国で亡くなるということがどういうことなのかという点に関して、僕自身は海外に行くことも殆ど無いし、飛行機に乗ることも殆ど無いのでテレビのニュースを通じてしか知らない。
言われてみれば当たり前のことなのだが、異国で亡くなった場合、その遺体は特別に用意された飛行機で運ばれるわけではないのだ。普通の旅客機の貨物として乗せられ、そして遺族の待つ国まで運ばれる。
例えば、エンバーミングという技術に関しても、アメリカのような土葬が基本の国でしか必要のない技術だと思い込んでいたのだが、異国で日本人が亡くなった時、飛行機で運ぶためにはこのエンバーミングをする必要があるということも初めて知った。
そしてこの本に書かれている事柄は僕が今までしらなかった、目からウロコの落ちる思いばかりする内容であると同時に、テレビを見た時に感じた、強い人だという印象は間違いではなかったことがわかった本だった。
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