『バーナード嬢曰く。』施川ユウキ

  • 著: 施川 ユウキ
  • 販売元/出版社: 一迅社
  • 発売日: 2013/4/19

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ネットで評判になりつつあったので、読んでみようかどうしようかと思っていたらうっかり入った書店でうっかり見つけてしまったので、こうなったら買って読むしかないということで読んでみた。
最初はCOCOの『今日の早川さん』のような話だと思っていた。
が、そもそも表紙に描かれているセリフからしてなんだか少し違う。
「一度も読んでないけど私の中ではすでに読破したっぽいフンイキになっている!!」
この絵の中の少女は主人公なのだが、彼女のこのセリフはなんとなく理解が出来る。というか、かなり共感できる。僕もときどきこんな感じで、読まずに済ませたい気持ちになる本があるし、読むのが面倒になる時がある。そうでなくては我が家にある積読本の量は説明できやしない。
要するにこの物語は、本など読む事無くしてそれっぽい名言や教養ありげな言葉を言いたいと思っている、本を読むことが特別好きなわけではない女子高生の話なのだ。
とはいえど、彼女は決して本を読むことが嫌いなわけではなく、少しは読んでいるらしい。この全く嫌いというわけではないあたりのさじ加減や彼女と、彼女とかかわり合いになる同級生たちのそれぞれのキャラクター設定もまた絶妙で、特にSF好きな神林さんの言動はSFファンとしては共感できる言動なので読んでいて微笑ましい。表紙裏の絵が彼女で、そこに描かれているセリフを読めば彼女がどんなキャラクターなのかは理解できるだろう。
特に、グレッグ・イーガンに関する彼女のセリフは言い得て妙であり、さらに彼女がそこから発展させた仮説はある意味、グレッグ・イーガンが『順列都市』で塵理論なる架空理論をでっち上げたのと同レベルなんじゃないかと思ってしまったくらい強烈な仮説だ。というのはちょっと言いすぎかもしれない。

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