『新顎十郎捕物帳2』都筑道夫

  • 著: 都筑 道夫
  • 販売元/出版社: 講談社
  • 発売日: 1988/10

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この本は電子書籍で読んだ。
都筑道夫は好きな作家なのだが、全部の本を読んではいない。というのも僕は基本的に作家を追いかける読み方はせずに、あくまで作品単位で読むタイプなので、好きな作家はいるにはいるけれども、その作家の書いた本をすべて読むかというと読まないのだ。
といっても読むか読まないかの基準なんてその時の気分に左右されることが多いし、いい加減でもあるけれども、『新顎十郎捕物帳2』の場合は「2」と付いているだけあって一巻が存在する。で、一巻の方は読んだことがあるのだけれども、読んだ時にあまりおもしろいとは思わなかったので、二巻は読まなかった。そもそも、久生十蘭の『顎十郎捕物帳』の続編として都筑道夫が遺族の許可を得て書いたものだったけれども、当時は久生十蘭の『顎十郎捕物帳』は未読だった。
この手の物はやはりどこまで元の作品と同じ雰囲気を出すことが出来るのかという部分にかかってくるので、元の作品をみ未読というのはやはり都合が悪い。
その後、東京創元社の『日本探偵小説全集〈8〉久生十蘭集』で読むことが出来たけれども、その時点で『新顎十郎捕物帳2』は絶版だった。
こうして『新顎十郎捕物帳2』を読む機会が出来たけれども、今度は元の作品がどんな雰囲気だったのかすっかり忘れてしまっていたので、どうにもこうにもタイミングが悪い。もっとも久生十蘭の『顎十郎捕物帳』は青空文庫で読むことができるので、そちらを読めばいいだけの話だが。
時折、青空文庫の『顎十郎捕物帳』を流し読みしながら読んでみたけれども、雰囲気は似せていても、文体は都筑道夫のあの独特な文体のままというのが面白いのだが、久生十蘭の文体と比較してみると意外と違和感がない。
それ故にか、都筑道夫の作品というよりも久生十蘭の作品という感じがして、都筑道夫の作品を読みたかったのに久生十蘭の作品を読まされてしまったというもどかしさがあったりする。

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