『赤い箱』レックス・スタウト

  • 訳: 佐倉 潤吾
  • 著: レックス・スタウト
  • 販売元/出版社: 早川書房
  • 発売日: 1981/05

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電子書籍でレックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズが何冊か出ていたので、未読の一冊を読んでみた。
レックス・スタウトが生み出した名探偵ネロ・ウルフは他の作家が生み出した名探偵と比べると異様に特徴的な事柄が多い。
まず、150キロ近い巨漢。
そして外出嫌いで依頼のあった事件の捜査は助手または調査員に行わせている。
美食家で、専用の料理人を雇っていて、食事の時間は常に決まっていて、なにがあってもその時間は変動させない。
同様に蘭の栽培をしていて、毎日決められた時間に蘭の世話をする。もちろん、この時間もずらすことはしない。
頭が良いことを自負していて、敬意を払おうとしない人間には尊大に扱う。
さらに、自分の生活の維持費が多額なため、依頼料として莫大な金額を請求する。
ただ、これらの特徴が事件の解決に役立つのかというと、役に立つわけではない。
どちらかといえば、こういった個性的なキャラクターの言動を楽しんで、そしてついでにミステリも楽しむといった感じで、赤川次郎や西村京太郎のミステリを読むのと同じような感じで楽しむのが正しい楽しみ方だろう。
ネロ・ウルフは外出嫌いで何があっても外には出ないはずなのだが、今回の事件では依頼人の家へと外出している。『料理長が多すぎる』や『シーザーの埋葬』でも外出し、そこで事件に巻き込まれるという話で、『赤い箱』が四作目、『料理長が多すぎる』が五作目、『シーザーの埋葬』は六作目なので立て続けに三作、ネロ・ウルフは外出している。
外出嫌いなのに外出させられ、さらに今回の事件では依頼人がネロ・ウルフの事務所で毒殺されるという出来事が起こったりして、自分の事務所は世界で一番安全な場所であると豪語しているネロ・ウルフはさらに不機嫌になるのだが、ネロ・ウルフの推理というのは直観で現象を捉える形の推理でようするに犯人はわかるけれども、動機も証拠も捜査して見つけ出さないとわからない。
結局、連続殺人事件となってしまうのだが、ウルフが最後に犯人に対して仕掛けた罠はそれなりに面白い。
中編を集めた電子書籍が何冊か出ているので、また機会があったら読んでみようと思う。

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