佐藤泰志の未読は残り少なく、なので一気に読むのではなく時間を空けてゆっくりと読もうと思ってたんだけど、我慢できずに読んでしまった。この本は死後にまとめられたもので、秀雄という青年を主人公とした、「秀雄もの」五編と他二編を収録した短編集。「秀雄もの」はそれぞれの話の長さが短く、全体の半分程度。
秀雄は暴力的でDVでアル中と人としてどうかっておもう人間なんだけど、かといって嫌悪するような人間でもなく、内面にいろいろなものを抱えてそれを解消させることが出来ない故の暴力でありアルコール依存。と書くとやっぱりどうしようもない奴だ。しかし、DVもアル中も自分自身の力だけでやめてしまうし、自分の子供には優しい。全五編で少しづつ時間が経過していくので、読み進めていくにつれ、秀雄がどのように変化、あるいは成長?しているのか気になってしまう。
佐藤泰志自身をモデルにした私小説でもあるように思える。佐藤泰志が生きていたらこの続きも書かれたかもしれないことを思うと『海炭市叙景』と同様、未完のままになってしまったのは残念でもあるが、短編自体も起承転結の起承あたりで終る話が多いので、完結しないのが佐藤泰志の魅力の一つでもある気もする。
他の二編も似たような味わいなので主人公が秀雄だったら良かったのにと思ってしまう。収録された全部の話がつまるところ男と女の関係の話でその関係ぐあいが湿っぽくなく乾いていて、どうやったらこんな感じの男と女の関係の話を書けるんだろうかと思う。
しかし、これで未読は一冊と数編となってしまったわけだが、読み終えてもういちど最初に読んだ『海炭市叙景』を読み返すのも悪くないなと思っている。多分、定期的に読み直したくなると思うのだ。

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫) | 佐藤 泰志 |本 | 通販 | Amazon
Amazonで佐藤 泰志の大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。佐藤 泰志作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)もアマゾン配送商品なら通常配送…

コメント