『脇役スタンド・バイ・ミー』沢村凛

  • 著: 沢村 凛
  • 販売元/出版社: PHP研究所
  • 発売日: 2013/3/19

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いかにも主役といわんばかりの人物ではなく、物語の脇役の位置にいるような人物に焦点を当てた連作ミステリ。
しかし、脇役を主役にした時点で彼らは脇役ではなく主役になるので、それほど脇役らしさというのは感じられない。強いていれば、自己主張したりせず、どこか気の弱さや押しの弱さを感じさせる性格の人物というところに脇役っぽさは感じさせられる。
さらに、脇役に焦点を当てたといいながらも、そこで起こる事件は決して後味の良い話ばかりではない。わりと社会ネタ的なものを物語の中に組み込ませ、嫌な話というか身に包まされる居座りの悪さといった感じの内容は、主人公に対して感情移入をしにくくさせ、それ故により一層、主人公の脇役さを際立てさせているのかもしれないが、事件そのものはわりといい話っぽいところに着地する。
いい話ではなくいい話っぽいところという点が、この作者の持ち味でもあるだろうけれども、そんなことを思いながら読み進めていくと、最終話でちょっとだけ驚かされる。
人によっては蛇足だと思うかもしれないが、脇役に焦点を当てた物語のさらに脇に焦点を当てて、なおかつ曖昧なままに終わらせる最終話はこの一連の物語を綺麗にまとめあげている。

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