『ヒューマノイド』ジャック・ウィリアムスン

  • 訳: 川口正吉
  • 著: ジャック・ウィリアムスン
  • 販売元/出版社: グーテンベルク21

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原則として、電子書籍には第三者による解説もしくはあとがきは収録されない。収録するとなると解説文に対しても印税が発生するので、手続きが面倒になるというのが収録されない理由の一つだろうけれども、例外的に第三者の解説が収録されている場合もある。グーテンベルグ21というデジタル出版を行なっている会社があって、この会社は過去に他社で発行していた出版物をデジタル化して発行している会社なのだが、当時の紙の書籍に収録されていた第三者の解説も収録されているのだ。
もっとも、ここで出版されているすべての電子書籍を確かめてみたというわけではないので、すべてがそうだとは言い切れないが、少なくとも、かつてハヤカワSFシリーズの一冊として出ていたジャック・ウィリアムスンの『ヒューマノイド』に関しては、福島正実の解説が収録されている。で、この本の翻訳は川口正吉だ。密かに福島正実が翻訳していて名義上、川口正吉の名義で出ていたというような事がない限りは第三者の解説が収録されている電子書籍の一冊と言える。
まあ、それはともかくとしてこの本は、『パンドラ効果』に収録されている「組み合わされた手」の長編版ともいえる話で、山本弘の『去年はいい年になるだろう』の元ネタの一つでもある。
「組み合わされた手」は既読だったので、いつかは長編版の『ヒューマノイド』を読んでやろうと思っていたのだが実際に読んでみると、単純に長編化したという内容でもなかったので少し戸惑った。
そもそも、こちらの方は物語早々、舞台が地球ではないことが明らかにされる。では「組み合わされた手」の方はどうなのかと思い読みなおしてみたのだが、こちらの方もはっきりと地球であるとは書かれていない。まあ多分地球が舞台だろうけれども、それを考えると、『ヒューマノイド』は「組み合わされた手」の長編化というよりも続編という位置づけとも取れる形になっている。もっとも登場人物の名前を見ると、続編とは言い切れなくなってしまうのだが。
基本的な展開は短編版と同じなのだが長編にするにあたって、短編では人間とヒューマノイドとの技術と技術による戦いにおいてヒューマノイドが勝ったことに対して、作者は人間側に新しい武器を与えて対抗させている。
その武器とはヒューマノイドには持ち得なく人間だけが持ちえる武器なのだが、それが何なのかを書いてもこの物語の面白さは別のところにあるのであえて書かないでおくのだが、つまるところ、ヒューマノイドの行動が正しいのか、それともヒューマノイドの行動に反して自由を勝ち取るのが正しいのかというところがこの物語の焦点であり、短編版ではヒューマノイドの行動を否定しながらも、ヒューマノイドに支配されて終わったのに対して、ジャック・ウィリアムスンが長編化するにあたって、どこに着地させたのかというところがこの物語の大きなポイントだ。
ただ、ジャック・ウィリアムスンが出した結論に納得できるかどうかは別問題で、そこのところが一番の問題だろうなあ。
驚くことにこの物語、日本では未公開なのだけれども『Creation of the Humanoids』という題名で1962年に映画化されている。

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