『おやすみプンプン』が登場人物たちがどんどんと破滅的な方向へと突き進んでいき、読んでいて苦しくなるというか痛々しいというかつらくなる展開で、読み続けるのが挫けそうになるのに対して、こちらは、全二巻でコンパクトにそして綺麗にまとまった。
とはいえど、一巻で張り巡らされた伏線らしきものはすべて回収されたわけではなく、中途半端な形で終わってしまったのだが、だからといってすべての物事に対して納得のできる説明や解釈が与えられたとしたらこの漫画が大傑作になりえたのかというとそんなことはない。
浅野いにおの他の作品とくらべて、俯瞰的に描かれているせいか、より映像的であり抽象的であり、ようするに、登場人物たちが何を考えて行動しているのかは読み手が想像するしかなく、そしてその想像できる範囲においてしか登場人物たちに共感しえない。
それ故に、読む側も物語との距離をある程度コントロールできるわけで、コントロールできるが故に、主人公たちの様子を客観的に捉えることができる。共感はしえないのだが、ある程度は理解できる。しかしその理解しきれない部分というのが、僕が歳をとった事による部分なのだろう。
一巻を読んだ時の感想で書いた疑問に対して少しだけ答えがわかったような気がする。
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