『TOKYO YEAR ZERO』 デイヴィッド・ピース

  • 訳: 酒井 武志
  • 著: デイヴィッド ピース
  • 販売元/出版社: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/9

Amazon

読んでみたら想像していたのとは全く異なった雰囲気を持つ物語だった。
終戦直後の東京で起こった連続殺人事件を追う刑事達の物語ということで謎解き要素のあるミステリではないことは想像できていたが、警察小説だと思い込んでいた。
もちろん、警察小説に違いはないのだけれども、文体が大きく異るというか非常にクセのある文体で、解説によると上田秋成、泉鏡花をイメージしているという事だった。生憎と上田秋成も泉鏡花も読んでいないので、これがそうだといわれると、そうなのかと頷くしか無いけれども、全体の雰囲気は暗黒小説といった雰囲気なのだ。
で、そのことを一旦受け入れてしまえばあとは文章の勢いに任せて、主人公が転落していく様を見続ければいいのだが、それを受け入れることが出来なかった場合、この物語を読み続けることは苦痛以外の何物でもないだろう。
しかし、それにしても外国人がここまで終戦直後の日本の雰囲気を描き出しているというのは凄い。無論、終戦直後の日本が実際にこのような感じだったのかというのは体験していないのでわからないのだが、それでも実際はこのような感じだっただろうと思わせるだけの力がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました