『ゴンベン』小川勝己

  • 著: 小川 勝己
  • 販売元/出版社: 実業之日本社
  • 発売日: 2012/12/5

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小川勝己がコンゲームを書くとどうなるかというと、尋常じゃない話になった。
そもそも、コンゲームというと聞こえはいいが、日本語でいえば詐欺で、どうしてコンゲームというとスマートに聞こえるのかといえばゲームという言葉が含まれているせいだろう。
そして詐欺を扱った過去の作品は強気をくじき弱気を助ける傾向の話が多く、そして殺人も起こらないし、血も流れない。犯罪を犯す動機もわりと爽やかで共感できる動機が多い。
しかし、小川勝己はそんな単純な話を書かなかったというか、今までのコンゲーム小説の定形を片っ端から崩しまくって、さっぱり共感できない登場人物を登場させ、血を流し、人が殺され、そして動機でさえも共感したくない動機でもって、この物語を突き動かしている。
読んでいてどんどんと陰鬱な気分にさせられ、それでいて登場人物の行末に目を背けることができなくなり、小川勝己の敷いたレールの上をただただ読み走り続けるしかなくなってくるのだが、その先に待っているのは底なしの闇なのだ。

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