この本は電子書籍で読んだのだけれども、それが失敗だったのかもしれない。
というのも、基本的に現在の電子書籍は紙の書籍と比較すると、省略されているものがわりとあるのだ。
そもそも表紙の絵が省かれている場合が多く、かろうじてサムネイル画像として表紙の絵が小さいな画像として表示されるのはまだましで、そんなものすら省かれている場合もある。例外はライトノベルや漫画の場合だろう。
表紙の絵が存在しないので当然のごとく裏表紙も存在しない。したがって、紙の書籍の裏表紙に書かれているあらすじなどは省略されている。さらには予想外だったのが、作者本人もしくはその本を翻訳した訳者自身のあとがきや解説は収録されるけれども、他者による解説やあとがきは基本的に収録されない。したがって、この本の場合も紙の書籍のほうは堺三保による解説なので、電子書籍のほうには収録されていない。
僕がこの本が三部作であることを知ったのはweb上で他の人の感想を読んだ時のことだった。
そもそも紙の書籍の場合だって、四六版のハードカバーを買って読んで、その後でその本が文庫化された時に加筆訂正されたり、新たな解説が付加されたりすることがあるわけでそれを考えると、価格が安いからしかたのないことだということで我慢しても構わないのではないかと思う。実際に我慢できるかどうかは別としてだが。
それよりもネックだったのは、この物語が、何の説明もなしに造語を使いまくって、そのせいでなんども前のページに戻って見なおしたりしなければいけなかったことだ。
前にも書いたけれども、電子ペーパータイプの電子書籍リーダーはページのめくりが遅く、僕が使っているSony Readerはページの早送りと巻き戻しが付いているにもかかわらず、やはり使い勝手が悪い。
とはいえども、電子書籍版で読んで面白かったという人もいるので、紙の書籍で読んだとしても、大差無かったのかもしれない。
ところどころ面白いディティールがあるけれども、それが終盤になるに連れて組み合わさって、わからなかった部分がわかるようになりはじめると、そこで見えてきた全体像がどうもあまりそそられるものではなく、一応はこの巻だけでも話としてはまとまっているけれども、そこで終わりか、といった感じがして、もやもやしたままなのだ。
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