国際漫画賞なるものがあったことも知らなかったし、それが外務省が主体となって発足したことも知らなかったのだが、発足当時の外務大臣が誰なのか知って外務省が主体となって発足したことに納得した。
で、この『I KILL GIANTS』は2012年、第五回国際漫画賞の最優秀賞を受賞した作品なのだが調べてみるとこの作品、2012年に描かれた作品ではなく、2009年にはすでに完成していてアメリカでは一冊の本として既に出版されていたのだった。
かなり評価が高かったらしく、だからそこ国際漫画賞も受賞したというのもうなずけるのだが、実際に読んでみるとやはり日本の漫画とは文法が異なる部分があって、そういう意味では日本の漫画を基準にしていると評価はしづらいかもしれない。
頭にうさぎの耳が付いている少女が主人公で、しかも題名が『I KILL GIANTS』と巨人を倒す話しである。だからてっきりファンタジーだと思っていたら、現実的、しかもかなり深刻な話でちょっと戸惑ってしまった。
根底を流れる物語はそれほど特異でも新味な物語でもないのだが、主人公がTVゲームではなく、テーブルトークRPGで遊んでいるところ、ある重要な言葉が吹き出しの中で黒く塗りつぶされているところ、そしてカウンセリングなどなど、日本とアメリカとの文化的な違いがここまで異なるアプローチの仕方になるということは興味深い事柄だった。主人公が抱える問題に対する作者のアプローチの仕方が極めて西洋的であり論理的なのだ。
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