これは驚いた。
何しろ2005年の3月に一巻が出て同じ年の12月に二巻が出て、通常であれば次の年の9月くらいには三巻が出てもおかしくはなかったのだが、その年に三巻は出ず、それっきり音沙汰なしになってしまっていたからだ。
確かに、二巻でエピソードとしては一応の区切りがついていて、そこでお終いとなってもおかしくはないけれども、そこまでの間に貼られた数々の伏線はまったく回収されないままで、打ち切りになったか、描けなくなったのかのどちらかで、それは漫画家としてある意味職人である細野不二彦にしては珍しいことでもあった。
その間に有栖川有栖が『闇の喇叭』なる本を上梓したりして、タイトルが似ていたのでもしやとも思わせることもあったけれども、これは結局全く違う物語だったけれども、いずれにせよ続きが描かれることなどないものだと諦めていた。
が、7年ぶりに三巻が出たのである。
7年ぶりなので細かな部分はすっかり忘れてしまっていたけれども、基本的にこの巻から新しいエピソードが始まるので問題はない。
終戦直後というのに何の技術的な伏線もなく当たり前のごとく強化外骨格というトンデモ兵器が登場するあたりは前巻の、いわゆるサイボーグである赤化戦士なるものを当たり前の如く登場させたときと同じで、7年のブランクを感じさせない安定感がある。
さらにはそういうトンデモ兵器を登場させておきながらも、終戦直後の混乱した時代の雰囲気を壊すことなく描くバランス感覚は素晴らしい。
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