『6日目の未来』ジェイ・アッシャー、キャロリン・マックラー

  • 訳: 野口 やよい
  • 著: ジェイ アッシャー、キャロリン マックラー
  • 販売元/出版社: 新潮社
  • 発売日: 2012/12/1

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1996年にフェイスブックが存在したとしたら、という設定に騙されてもいいかという気分になって読んでみた。
1996年というと日本ではwindows95が発売され、インターネットがより身近な存在になり始めた年だ。
もちろんこの物語は日本ではなくアメリカが舞台なので、日本とはだいぶ異なるかもしれないが、それでもwindows95になってインターネットへの接続はそれまでよりもより簡単になったことは確かだ。
物語は主人公である女子高校生が、隣に住む幼馴染の少年からAOLのCD-ROMをもらい、自分のパソコンをインターネットに接続するところから始まる。
メールアドレスを作成しログインするのだが、そこで異変が起こり、彼女のパソコンの画面には15年後のフェイスブックの画面が表示されるのだ。
15年後の彼女は見知らぬ誰かと結婚し、そしてフェイスブックで近況を書いているのだ。
今の視点で見るならば不思議なことではないのだが、フェイスブック上で、どこどこのレストランでなになにを食べたなどと個人的な事柄を書き記す未来の自分たちを見て、主人公たちはそんなことを書くなんて頭がおかしいんじゃないのかと叫ぶ。1996年という時代はそういう時代だったのだ。
それはともかくとして、未来の自分が不幸な結婚をしていることを知って主人公は未来を変えようとする。一方、幼馴染の方は未来の自分がクラスメートのあこがれの美少女と結婚しているのを知って有頂天になる。
未来を変えたい少女と未来を変えたくない少年、しかし、主人公たちの何気ない行動で未来はドラスティックに変化していくのだった。まあ、その変化の度合いといったらなかなかの激しさだ。
そして、この物語の結末は、おおよそ誰でも想像がつく結末ではあるのだがそれは別にこの物語の欠点ではない。もっとも、意外な結末に結びついてくれればそれはそれで楽しめるのだろうけれども、でも逆にこの物語はそんな奇をてらった事件や結末など必要とはしていないのだ。
そしてそれは最後のページを読み終えた時、この物語にとって一番の結末がこの結末であることを理解するはずだ。

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