『ダイナー』平山夢明

  • 著: 平山 夢明
  • 販売元/出版社: ポプラ社
  • 発売日: 2012/10/5

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物語開始早々、主人公は瀕死の状態で自分の墓穴を掘らされている。
どうみても、あと十ページくらい読み進めれば主人公は殺されて、そこで物語が終わってしまいそうな状況化なのだが、そんなに簡単には物語は終わらない。なにしろこの物語は文庫で510ページほどあるのだ。
そして最後まで主人公は殺されないのだが、だからといって主人公に平穏が訪れるわけではない。残り500ページ、主人公はいつ殺されても不思議ではない状態を渡り歩き、読者はそんな状態の物語を延々と読まされ続けるのだ。
主人公が自分の墓穴から次に連れてこられたのは一軒の食堂。ただし、そこはプロの殺し屋たちが集まる会員制の食堂で、主人公は9人目のウェイトレスとして働かされる。彼女の前に働いていた8人のウェイトレスは皆、客もしくはこの食堂の料理人に殺されていたのである。
登場する殺し屋は一癖も二癖もある殺し屋ばかりというか山田風太郎の忍法帖シリーズに登場してもおかしくないような人物ばかり。舞台となるのが食堂で、料理の描写も素晴らしいのだが、同時に残酷さとグロテスクさも共存しているというミスマッチがなんともいえない風味を醸し出している。
個人的には都筑道夫の『なめくじに聞いてみろ』を彷彿させる雰囲気もあって、残酷でグロテスクで、さらに狂気も加わっていながらも、それらを冷静にまとめあげている作者の手腕のおかげか、一気に最後まで読み切らせる力強さと面白さとそして最後に希望と救いがあるという強烈な物語だった。

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