原作が三部に分かれていたのに合わせたというわけでもないだろうけれども、三巻で終わった。
もっとも、漫画版の方は原作ほどきれいに三部に分かれていたわけではないので主人公の荒野が一巻単位で二歳ずつ歳を取る構成にはなっていない。というか、原作の途中で終わっている。
原作が完結した時、僕はこの話が理想とする形で完結しなかったと書いたのだが、今回、タカハシマコが描いた「荒野の恋」は僕が理想とする「荒野の恋」だったことが嬉しかった。
原作に比べてだいぶ物語が省かれて、物語的には16歳まで描かれることなく終わってしまったのだが、漫画版の『荒野の恋』は原作が文庫化された時に三分冊されて『荒野の恋』になったとはいえ最終的に『荒野』で、荒野という少女の成長物語であったのに対して、タカハシマコはあくまで「恋」の話で終わらせたのだ。
もちろん、他にもさまざまな事情があったのかもしれないし、賛否両論あるかもしれないけれども、原作を改変することなく、否定することなく、二巻で中断してしまったファミ通文庫版の『荒野の恋』のありえたかもしれないもう一つの『荒野の恋』をタカハシマコは描いてくれたのだ。
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