『廃墟建築士』三崎亜記

  • 著: 三崎 亜記
  • 販売元/出版社: 集英社
  • 発売日: 2012/9/20

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七階、廃墟、図書館、そして蔵。
建物に関する四つの物語。
巻末の高橋源一郎の解説が秀逸で、これを読むだけでもこの本を買う価値はあるんじゃないかと言いたくもなるけれども、そもそも三崎亜記の小説が好きな人ならば、高橋源一郎の解説が無くってもこの本を買うだろうし、三崎亜記の小説が嫌いな人ならば高橋源一郎の解説を読んでも何も思わないだろう。
僕はそれほど三崎亜記の熱心な読者ではないので、三崎亜記のすべての作品を読んでいるわけではなく、しかもどちらかといえば三崎亜記の長編よりも短編の方が好みな場合が多いのは、つまるところ三崎亜記の世界があまり好きではないということでもある。
三崎亜記の創りだす世界はいつも不条理でそしてどこか悲しみがあり、しかも不条理でありながらそこで行われる主人公たちの行動には筋の通った手続きと理屈が存在している。
「七階闘争」では七階を無くすという行為に対してお役所的な手続きが介入する一方で、七階だけが消滅する手段に関してはなんの説明もない。
「廃墟建築士」では廃墟を人工的に作る廃墟建築士というものが登場し、国による廃墟建築の検査や基準というものがあり、その過程で偽装廃墟事件なるものが起こる。しかし、廃墟に関しての細かな手続きの論理が組み立てられそして廃墟に関して語られていながらも、ここで語られているものは「廃墟」でありながらも他の何かでも置き換え可能なような居心地の悪さがあるのだ。
そんなどこか居心地の悪さが僕にとって短編レベルの分量までしか耐えることが出来ないのが、長編を読まない理由の一つなのだろう。

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