初めて手に取る本のタイトルの最後に「2」という数字がついていたら大抵の人は「1」という数字がついている本を探して、そちらの方から読むだろう。もっとも、続編でもシリーズ物でもないのに『デクストロII 接触』なんてまぎらわしい本もあったりするから油断もすきもないのだが。
それはともかくとして、乾くるみの<カラット探偵社>シリーズの場合、一作目の最終話でそれまでの話の流れをひっくり返すようなちょっとしたトリックがあって、それ自体は明らかにされてしまった後でもこのシリーズを楽しむことにたいしては問題はないのだが、続編の方を先に読んでしまうと一巻を読んだ時に興ざめしてしまう恐れもあるなあと思っていたらそんな心配など杞憂だった。
いきなりこの巻から読んでも大丈夫なような配慮がされているのだ。
まあ、そんなところまで心配する必要もないといえばないのだが、では前巻からの読者に対してはどうなのかというと、最終話で、ニヤリとする仕掛けが施されている。
今回は全七話と収録作が多い分、一話一話の分量が減って、そのせいで、全体的に題名通りカラットした話が多い。
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