『煙突の上にハイヒール』小川一水

  • 著: 小川 一水
  • 販売元/出版社: 光文社
  • 発売日: 2012/6/12

Amazon

同じ雑誌に掲載されていたというだけで、個々の物語は時系列的にも世界感的にもまったく関係性がなく、登場人物も共通することなくばらばらなんだけれども、全体を通して読み終えてみると小川一水の特徴がよく表されているなあというのが実感できる。
とくに、最後の話などはその特徴が顕著で、発表年度は最後ではないけれども、この話を最後に持ってきたところが小川一水らしいのだ。
たとえば、『第六大陸』では最後の最後にSF的な飛躍をするし、『妙なる技の乙女たち』でも最終話でそれまでの展開から大きく物語りを飛躍させる。
で、今回も四話までは近未来という時代設定でちょっと未来のガジェットを登場させながらも比較的地に足のついた物語を語っていたくせに、最後の話では未来の話でありながらも新しいガジェットなど登場させず、それまでとは違った物語を物語る。それまでの話がSFなど読まない人たちでも楽しめるちょっとSFっぽい話であったのに、最後の話はSFっぽくないけれどもど真ん中のSFだ。そしてここから『天冥の標 2 救世群』へと発展していったのだろうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました