それほど期待していなかったので、実際に読んでみるとかなり楽しむことが出来た。
BOOK2までは二人の視点での物語が交互に描かれるのに対して、今回はもう一人、別の人物の視点の物語が間にはさまる。
青豆と天吾の場合はそれなりに共感できる人物だったのがだ、今回新たに加わった視点人物は共感しにくい人物で、要するに二人を追う側の人物だ。
互いに互いを見つけることができない青豆と天吾は追う者が登場したことにより、それぞれの距離が縮まっていく。このあたりはさすがにうまいなあといわざるを得ないし、三人目の人物が加わっても物語はゆるぎない。
問題は、どこまで謎が明らかにされ、どこまで二人の物語が語られ、そして1Q84の世界はどのようになっていくのかということなのだけれども、結局のところ、この物語は青豆と天吾の物語で、世界がどのようになろうとも関係無い。
三人称の視点の物語でありながらもつまるところは一人称の物語とほぼ同じであり、謎そのものにはそれほど期待もなにもしなかった身としては満足できる話だった。
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