一巻でいよいよ「のろろ祭り」が開催されるというところで、二巻ではどうなるのかと思っていたら意外とあっさり「のろろ祭り」は終わってしまった。
といってもいろいろと事件は起こったのだが、それでももっとじっくりと描くのかと思っていたので、それほど長く紙面を割かずに終わったことに拍子抜けしたのだ。はたして「のろろ祭り」でさえエピソードのひとつに過ぎないのか、それともさらに新たな展開へとつなぐ踏切板のような存在なのか、どういう展開を見せるのかは三巻まで待たないといけない。
一巻を読んだときに感じた、僕自身の犯罪者に対する偏見的な視点の決まりの悪さというものは、二巻において、悪い人間はやはり悪かったという展開を見せられたことで、多少は持ち直すことが出来たのだが、今回の話の中で描かれた悪人はわかりやすい悪人で、要するに悪人の中において悪意のランクをつけるならば一番下に位置する悪人で、本当に悪い悪というのは一見すると時には良いこともする人物の方なのかもしれない。
そんな風に、読み手のほうがさまざまなレベルで疑心暗鬼になりつつも、まだまだゆっくりと展開しているこの物語が、どこかで一気に加速し、カタルシスすらない絶望的な結末にたどり着くかもしれないということに不安と期待をしているのだ。
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