雑誌連載で二巻まで出た後、以降は書き下ろしという形になって一年と三ヶ月、前巻の予告からけっこう遅れたがようやく第三巻が出た。不定期連載とかいった方法をとらず、書き下ろしという形で作品を仕上げようとする作者には感謝したい。
書き下ろしという体制になって何か変化したかといえば特別おおきな変化もなく、物語におけるさまざまな謎は少しずつ断片的に明らかにされる一方で、新たな陰謀らしき物事が見え始め、続きが来年の春と、また一年後になってしまうのが非常にもどかしい。
主人公が得た、新たな転送ポイントを取得するという能力の開発と安定化というのが今回の主な話。それにあわせて、転送部隊の過去のエピソードが語られたり、第二次開拓民との間における戦争の時間的な猶予の問題が語られたりと、新たな情報は出てくるわりには相変わらず全体像は見えないまま。
あくまで第一次開拓民側だけの視点で物語が展開され、今の時点で和平や共存という道が残されておらず、どちらか一方の殲滅という結果しか見えない状況下、続く第四巻ではどういう展開を見せてくれるのだろうか。
コメント