『技師は数字を愛しすぎた』ボワロ&ナルスジャック

  • 訳: 大久保 和郎
  • 著: ボワロ&ナルスジャック
  • 販売元/出版社: 東京創元社
  • 発売日: 2012/4/27

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ボアロー&ナルスジャックを読むのはこれが初めて。
『悪魔のような女』とかヒッチコックによって映画化された『死者の中から』とかが有名なところだと思うけれど、この有名どころの作品がトリックや意外な結末とかがあるにもかかわらず、表層的にはサスペンス主体の作品として紹介されていたのが原因で、今まで読まず嫌いのまま通してきた。
それでも『私のすべては一人の男』は読みたいと思い続けているのだが、あいにく、この作品だけは古書でもなかなか手が出せない金額の高値が付いたままでいまだに読む機会が訪れていない。
そうこうするうちに『技師は数字を愛しすぎた』が復刊したので、読んでみることにした。
というのも、原子力研究所で技師が殺され、金庫から重さ20キロほどもある核燃料チューブが盗まれるという事件、しかも密室殺人というわけだから読んでみたくなる設定だ。
が、読んでみると、どうにも話が盛り上がらない。
ボアロー&ナルスジャックといえばサスペンスのはずだったのだが、密室殺人の謎と盗まれた核燃料チューブの行方という問題がうまくかみ合わさっておらず、サスペンス的にはどっちつかずの中途半端な状態になっているのだ。
さらにいえば、探偵役の警部があまり活躍しないというか、魅力に乏しく、せっかくの最後の見せ場が今ひとつうまく機能していないのも残念。
とはいえども、盗まれた核燃料チューブの問題や、細かな部分では丁寧に出来ているので惜しいよなあと思ってしまう。特に題名はいいよね。

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