褒めるよりも貶している作品のほうが多いんだけれども、それはこの二人が毒舌であるというよりもつまらない映画が多くなってきたってことで、あとがきにも書かれているように、今の映画がテレビの延長線上に過ぎないということだ。
だから、テレビの延長線上のものだということを理解したうえで観れば、それなりの楽しみ方はできるのだけれども、それはもはや、映画ではない。
読み終えて、はっと気が付くと、そんな悲しい気分にさせられる本なのだが、読んでいる間は楽しい。
そのうち観ようと思ったままいまだに観ないでいる『キル・ビル』の町山智浩の感想は知り合いの作品に関して語ることの難しさを見事にあらわしているし、『スター・ウォーズ』が構造的に『巨人の星』と同じであると見抜く視点の面白さや、クリント・イーストウッドの隠された真実など、目からうろこが落ちる思いである。
また、映画雑誌等で行われるベストテン集計を、単なる平均値に過ぎないと看過しているあたりも楽しい。3点や4点あたりをコンスタントに集める映画が、結果としてベストテンの上位になってしまうのだ。
コメント