『地獄の門』法条遥

  • 著: 法条 遥
  • 販売元/出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/3/24

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角川ホラー文庫なので、ホラー小説だと思い敬遠していたら、ネット上でホラーというよりもミステリに近いという感想を見かけたので読んでみた。
で、読んでみると確かにホラーではない。というかぜんぜん怖くない。
主人公は気が付くと天国にいてそしていきなり地獄に落とされる。何が起こったのかわからない主人公の前に、私があなたの担当ですと一人の悪魔がやってきて、これから主人公が何をしなければいけないのか説明し始める。そこでようやく主人公は自分が何者かに殺されたことを理解する。
悪魔の説明によると、天国も地獄も転生するための魂の禊を行う場所で、禊が完了した魂は再び現世に赤ん坊として生まれ変わるのだということだった。そこで主人公は自分を殺した犯人を突き止め復讐することを誓い、何とかして今の自分の記憶を維持したまま禊を完了し、現世に生まれ変わろうとする。
一方、現世では殺された男の恋人の方が、彼を殺した犯人を探し出し復讐しようとする。
律儀に張りすぎた伏線のせいか、もともと最後まで読者をだましとおすつもりがなかったのか、比較的早い段階で物語のからくりがわかってしまうのだが、死後の世界と転生というシステムを用いたこのからくりはなかなか面白い。
ミステリでもあるけれどもロジカルなSFとしても楽しめるなあと思ったら今月、早川書房から『リライト』というSF小説がでる。こちらもちょっと楽しみだ。

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