最初にUFOが登場し、続いて猫が登場する。そして主人公はいつの間にかゲームに参加させられ、当然のことながらゲームにはルール(規則)が存在する。
時々、ライトのベルというジャンルには不思議な小説が出版される。この本は今から二十年以上も前に書かれた本だ。
主人公のぼくは予備校生。ひとりの少女と出会ったことから、少女の家の庭にある穴から不思議な世界へと迷い込む。
その世界で主人公は、その世界の大統領を助けるために心臓を届ける任務を受ける。途中で一人の少女と一人のおじさんと出会い、三人で行動を共にすることとなる。
少女の方は、現実の世界では自殺していて、おじさんの方も、一家心中して死んでいる。
大統領も死に瀕しており、主人公を助ける魔女が登場するが彼女も現実の世界では、生まれる前に死んでいる。
物語の背景には常に死が横たわっており、主人公もひょっとしたらすでに死んでいるのかもしれない。
そして、主人公は冒険の途中で願えばなんでもかなう能力を得るのだが、主人公がその力を何に使うのかといえば、地球上に住むすべての生命の死だ。
不思議の国のアリスをモチーフとした展開の中で、背後に死の影がまとわりついている少し悲しく、少し切ないファンタジー。
しかしそれは、何かを得るということは何かを代償として支払わなければならないという意味でもあり、それ故に、この物語は最後に何かを得て終わる。
だから読後感が心地よいのだ。
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