インターネットが広く普及して、マス・メディアに対する依存度は大きく減少した。
情報を得るための手段が多様化したということは良いことでもあるのだが、どうでもいい情報は多様化しなくても別にかまわない。特に、娯楽に関してはそんなに多様化しなくっても十分な気もする。
1970年代から1980年代というのはテレビというマス・メディアが全盛を誇った最後の時代だった。
『ザ・ベストテン』という音楽番組はテレビが面白かった時代のひとつの番組だった。
今でこそテレビは一人一台なのだがあのころは、一家に一台、ひとつの番組を家族がみんなで一緒に見ていた時代だ。そして、その番組は日本中の家族が見ていた。
今からして思うと、あの時代は日本人がひとつのものを共有していた最後の時代でもあったのだと思う。確かに、今はインターネットを通じてひとつのコンテンツを世界中の人たちが共有している。でもそれは共有している時間が異なっている。今、この時間、この瞬間に他の人と同じものを共有しているという感覚に乏しいのだ。
昔の方が良かったというつもりはない。でも、こうして当時、あの番組を作っていた人のあの時代の様子を読んでみて、ああいう時代はもうこの先、二度と体験することはできないのだなと思うと体験しておくことができてよかったなと思うと同時に、もう一度あの時代を体験してみたいという気持ちがこみ上げてくるのだ。
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