ワールズエンド、世界の終わり。
この本の中でのワールズエンドは世界の果てとしての意味で使われているが、時間的な意味での終わりにしろ、空間的な意味での終わりにしろ、ワールズエンドという言葉は僕にとっては琴線に触れる言葉だ。
それは、過去に何度か書いたように、僕が終末SFが好きなせいでもある。
しかし、この本は終末SFではない。双子の姉妹と、幼なじみの一人の少年との物語だ。
手にとって目次をながめてもらうとわかるように、物語を流れる時間軸は一直線ではなく、過去と現在とが断片化され、バラバラに並べられている。なおかつ物語は双子の姉妹の片方が事故に遭い、自分の名前以外の記憶を失ってしまうという話だ。
双子、記憶喪失、断片化された物語とくればどんな話なのか想像が付くのだが、ここはそんなひねくれた読み方などせずに素直に読みたいところだ。
徐々に明らかになっていく少年と双子の姉妹の恋愛模様。
物語をバラバラにしたおかげで、ページの終わりに訪れる物語の終わりは、主人公達の本当の終わりではなくなり、読み手は読み終えて再びページを戻し、主人公達の物語の終わりを探す旅に出かけなくてはならない。
世界の涯てまで行って、そして戻ってくるような話だ。
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