文庫化するにあたって『笑うヤシュ・クック・モ』を改題したもの。
マヤ文明に関しての知識があれば「ヤシュ・クック・モ」という言葉にそれほどインパクトは覚えないだろうけれども、でもやっぱり「ヤシュ・クック・モ」ってインパクトがあるよなあ。多分最後の「モ」が効いているんじゃないかと思う。
それを思うと、『夜明けの空を掘れ』は無難というか落ち着いた感じになってしまっているので『笑うヤシュ・クック・モ』という題名の方が好きだ。
それはさておき、どんな話なのかというとこれがなんとも一筋縄ではいかない変な話だった。
マヤ文明が関係してくるけれども、マヤ文明が関係してくるとなんだか魔術的なもしくはファンタジー的な要素が関わってくるような気がするのだが、読んでも読んでもなかなかそんな気配はしてこない。
ファンタジーなのか青春小説なのか、それともそれ以外の何かなのか、なかなかジャンルとしての分類が難しい状態で先の読めないまま物語が進んでいって、なんとも不思議な読後感を残す。
ファンタジーであり謎解きのあるミステリでありそして青春時代のその後の物語であり、その後の物語であるが故にほろ苦いのだ。マヤ文明がこういう感じで関わってくるとは予想外だった。
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