加納朋子の小説を読むのは久しぶりだ。
で、久しぶりの加納朋子の小説はミステリ要素の全くない青春物語だったけれども、加納朋子が書く物語はミステリ要素がなくっても面白い物語であることを改めて実感した。
いや疑ったことは無かったけれども、なんていうか、中学生を主人公にしているせいか、もの凄く素直で爽やかで、読んでいて心地よい物語だったのでそのこと自体が何故だか新鮮で驚きだった。
ロケットを打ち上げるのではなく、空を飛ぶ。中学生にできることといえば、おのずと限られてしまう。天才少年が登場するわけでもなく、大金持ちが登場するわけでもなく、登場する事も達は何処にでもいる普通の中学生達だ。もっとも名前だけは変わった名前の持ち主ばかりだが。
そんな彼らがどうやって空を飛ぶのかという点において現実的な解を作者は用意しているけれども、空を飛ぶことができるかどうかという問題よりも主人公達の様々な心の葛藤と、いかにも青春していますという様子が読んでいて楽しい。
登場する子供たちも素敵だが、主人公の母親も素敵だ。
自分が生まれたことに対して、主人公の「男の子と女の子どっちがよかった?」の問いかけに、あなたがよかったと答えるのだ。
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