『パーフェクトフレンド』野﨑まど

天才少女に友達とは何かという問題を与え、そして友達シミュレーターから友達定数などというものをはじき出してしまうあたりや、シミュレーターのパラメータとして個人の趣向といった個人的な要素を友達を形成する上で全く必要無いなどという強引なロジックは予想の上をいく展開で面白いのだが、その過程の上で天才少女が見いだした結論が前作までのスタイルとは異なった地点に着地したのが意外だった。
友達とは何かという問題を軸にしながらもそれ自体は表面的な様相に過ぎなく、終盤でもう一つ別の様相をぶつけてきているところは一筋縄ではいかない作者らしい点だけれども、その二つの問題がうまく組み合わさっていないところが残念。もう少し両者が密接に絡み合っていたならば傑作になったかも知れない。
ヘレン・マクロイの『暗い鏡の中に』が合理的な解決と超自然的な現象による解決という両方の解決を提示して、そのどちらとも取ることができるという結末だったのに対抗したのか、作中で起こる、とある事件の真相を、魔法というものが介入した超自然的な解釈と、超自然的な現象など存在せずに成立する合理的な解釈との二本立てにしてあるあたり、ミステリ好きとしてはにやりとするしかない。しかも、最初に魔法による解釈を持ってきているあたりが小憎たらしい。

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