津原泰水の文章というのは嫌いじゃないしむしろ好きな方なのだけれども、なぜだかすんなりと自分の頭の中に入ってこないのがいつも気に掛かる点だ。
それは多分に自分の理解力の無さのせいだろうけれども、津原泰水が全力を発揮したような作品を読んでいる時であれば、まあそれは仕方ないものとしてなっとくしながら読むことができるが、ある程度肩の力を抜いたような作品を読むときには、なんでこんなにもすんなりと頭に入ってこないのだろうというある種の悔しさを伴って読まないといけないので読んでいて辛くなるときがある。
<ルピナス探偵団>シリーズのようなミステリ連作短編集かと思って読んでみたら、単純な謎解きだけではなくホラー的な風味や幻想的な風味のある話などバラエティに飛んでいたのでちょっと得したような気分になった。そもそも文庫にして220ページほどの薄い分量であるのだが、読み終えてみるともっと沢山のページ数を読んだような感覚だ。文章の密度が濃いというか、盛り込まれた内容が濃いと言うべきか。
登場する人物達も、わかりやすいキャラクター造形でありながら、ステレオタイプに陥っているわけでもなく、もっと彼らの物語を読んでみたいという気持ちにさせられる。
そして、続編の予定があるようなので、もっと読みたいという希望は叶えられそうである。
『たまさか人形堂物語』津原泰水

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