短編として発表されたものを長編化したということだけれども、生憎と短編版の方は読んでいない。短編版が収録されている『歌うダイアモンド』は読みたいと思いながらもそのままだ。
短編を長編化したものというとダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を思い出すが、僕は長編の方を先に読み、後で短編版を読んだ。長編版は確かに物語の奥行きはあるし読み応えもあるけれども、衝撃度という点では短編版の方が上回っていると思う。その点でいえば、先に短編版を読んでおいた方が良かった気がする。
では、『暗い鏡の中で』に関していえばどうだろうか。短編版を読んでいないのではっきりと結論づけることはできないけれども、短編版は純粋な謎解きらしい。長編版は雰囲気を重視し、どのように解釈するかを読み手にまかせている。
ミステリとしての謎は申し分ないけれども、謎の真相に関していえば、魅力ある謎を受け止める器としてはちょっと小さい。期待して読むと拍子抜けするだろう。短編版を含んでさらに欠点を補う形の結末になっているので、長編版の方を先に読んでもかまわない気がする。というか長編版だけ読めばいいのかも。
『幽霊の2/3』は未読だったので、この本の探偵役がマクロイのシリーズ探偵だとは知らなかった。『幽霊の2/3』では『暗い鏡の中で』では恋人だった人物と結婚している設定になっているらしい。そのうち『幽霊の2/3』のほうも読んでみることとしよう。
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