ジョアン・スファールの『星の王子さま バンド・デシネ版』を書店で実物を見たとき、購買意欲をかき立てられるほどジョアン・スファールの描く「星の王子さま」は魅力的ではなかった。
本文が池澤夏樹によってどのように訳されているのか確認できなかったのも原因の一つだ。
で、しばらくしたら角川つばさ文庫から『星の王子さま』が出た。エイミー・ベンダーの翻訳も手がけた管啓次郎の翻訳だ。そして挿絵は西原理恵子だった。
そうだ、フランスにはジョアン・スファールがいるかもしれないが、日本には西原理恵子がいる。
西原理恵子が『星の王子さま』を描くだけでもうこれは反則というか暴挙というか、いや、やはりこれは魅力的なのだ。
西原理恵子の星の王子さまは金色のマフラーではなくなんだか小汚い手ぬぐいを首に巻いているようだけれども、読んでいるうちにそんなものは気にならなくなってくる。それは管啓次郎の訳の力も大きいけれど、西原理恵子の絵が持っている寂しさが『星の王子さま』の世界とマッチしているからだ。
でも、この絵は嫌だという人は多いだろうなあ。
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