『NUMBERS』というアメリカのドラマがあって、数学で犯罪を解決するという話で興味があったのだけれども、そのドラマの解説書は読んだくせに肝心のドラマのほうは未だに見る機会がないままだった。
この本も数学で事件を解決する話なのだが、事件を起こす方も数学にからんできているので、『NUMBERS』が数学を犯罪捜査に応用する話であるのに対してこちらは数学的な問題を使った犯罪を数学で解くといった感じだ。
前提となる基本設定が荒唐無稽な部分があるのでそこに引っかかってしまうと話についていけない面もあるけれども、その部分が大丈夫であれば、数学を扱っているとはいえども、数学が苦手な人でも楽しむことができる点は素晴らしい。
特に、二話目のゼロで割るという問題に関しては真相を見抜かれ、自暴自棄になって自殺しようとした犯人に対してそれを思いとどまらせようとする主人公が投げかけた言葉が素晴らしい。
「ゼロで割ってはいけない」という言葉で思いとどまらせてしまうのだ。これだけでは何故思いとどまらせるとこができたのかさっぱりわからないだろうけれども、実際に読んでみれば何故思いとどまったのか、この言葉の意味がわかる。
数学に対する愛が満ちていて、それゆえに読んでいて暖かくなるのだ。
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