筒井康隆が書いた『時をかける少女』は何度も映像化され、小説の方も版を重ねているのに比べて、NHKの「少年ドラマシリーズ」として放送された『時をかける少女』の続編である『続 タイムトラベラー』のほうは、一回だけノベライズが鶴書房盛光社「SFベストセラーズ」シリーズの一冊として出たきりだった。もっともわたしはどちらのドラマも見てはいない。
続編の方は筒井康隆ではなく脚本家の石山透の手によるものだったせいなのかどうなのかはわからないけれども、正編と比べると絶版のまま放置された、この続編の扱われ方はちょっと酷いんじゃないかと思わないでもない。
しかし今回、復刊ドットコムの働きによって『続 時をかける少女』と改題されはしたもののめでたく復刊した。
正編よりもSFらしさは増幅されているけれども、正編にあった雰囲気はちょっと無いかな。いろいろなアイデアが詰め込まれてしまったことによるトレードオフの問題だろう。今まで復刊されなかったのも納得できるけれども、それは大人の視点でみた場合であって、当時リアルタイムでドラマを見たことのある人であれば、この本はかけがえのない一冊になるはずで、かけがえのない一冊となった人がちょっとうらやましいのである。
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