飛行おにが落とした魔法の帽子は中に入れた物を正反対の物に変身させてしまうという不思議な帽子だった。そんな帽子をとりまくてんやわんやのお話なんだけれども、ムーミントロール達はそれ以上に好き勝手に生きているので不思議と大変なことにはならない。
スナフキンの含蓄度は前作に比べると減っているけれどもその分、他のキャラクターの含蓄度が上がっている。世界中の切手を集めきってしまったヘムレンさんに対するくだりなど、要所要所でハッとさせることを言うのだ。
その一方で、船に「スニフ号」と名前を付けようとしたスニフに対して酷いことを言ったりするので、含蓄のある言葉に感心してしまったりするとなんだかもの凄く損をした気分にさせられたりもする。スニフがこんな性格になってしまうのもわかるような気もするが、まあスニフは最初っからこんな性格だったのだろう。
さらには、スナフキンが語る怖い話の中で登場する怖い雰囲気を持つ飛行おにが実際にはとんでもなくいい人だったり、傲慢で我が儘でひがみやのスニフがなんとなく一番人間らしかったりするあたりがトーベ・ヤンソンの一筋縄ではいかない部分なんだろう。
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