児童向けのミステリとして書かれた作品なんだけれども、講談社の<ミステリーランド>というレーベルから出ただけあって、大人が読んでも楽しめる。
加納朋子の作品を読むのは久しぶりなんだけれども、やっぱり加納朋子はこういう物語を書いたらうまいなあ。
ミステリなので謎は登場するけれども、それはあくまで日常の中におけるちょっとした不思議な出来事で、しかもそれは子供の世界における日常の謎なので真相部分における物足りなさというのはあるけれども、そんな謎の中に思いもよらない重苦しい事柄を忍ばせているところがいい意味であざとい。最初は不思議な少年の存在故にこの物語がファンタジーの世界へと向かっているのかと思っていたのだが、中盤過ぎに、この物語がファンタジーではなく現実の物語であるということを突きつける。もちろんだからといってこの物語のようなことが現実的に可能なのかというと疑問でもあるけれども、そこまで厳密に考える必用はない。
そしてその中心人物がこの物語における探偵役になっているという点、古今東西のミステリの中で奇抜な設定の探偵は何人も生まれてきたけれども、この物語における探偵もその中の一員として含めても何ら遜色ない。
登場人物たちの魅力がいっぱいなので続編を期待をしてしまうけれども、ここで終わらせるのが一番綺麗な終わり方だとおもう。
コメント
ミステリーランドか・・・・・麻耶雄嵩の神様ゲームがかなりトラウマになったな・・・
正直子供に読ませるのには 勇気がいりそう・・・・
higaさんもけっこう読まれていますね。
麻耶雄嵩の神様ゲームはたしかに凄かったですね。というか全然子供向けじゃあない話でしたよね、あれは。