三崎亜記って、不思議な作家だ。
たぶん、SF作家だと言ってしまってもいいだろうけれども、SF作家という括りをしてしまってはいけない雰囲気がある。
作者が作者だから、作品も作品だ。
SF小説と言ってしまってもいいのだろうけれども、なんとなくSFという括りをしてジャンルに押し込めてしまってはいけない雰囲気がある。
たとえば、「突起型選択装置」では体の一部に押しボタンが付いている女性が登場する。主人公はその女性と同棲をし始めるのだが、話の展開は読者が期待するような方向へとは行かない。途中でボタンの付いた女性を監視する人物が登場し、さらにはボタンを押してしまうととんでもないことが起こってしまうような雰囲気が流れ始めるのだが、ボタンの付いた女性を監視する人物は、女性を監視しているわけではなく、「ボタン」の方を監視しており、さらには主人公に「特定突起型選択装置暫定占有申請書」を提出しなければいけないと言ってくる。役所仕事のごとく。「ボタン」が重要であり、「ボタン」を付けた女性の方は何の意味も持たない。デビュー作の『となり町戦争』からずっと続いている、微妙にずれた不条理な世界なのだ。
コメント
奇妙な文学
小説「鼓笛隊の襲来」を読みました。
著者は 三崎 亜記
9つの話からなる短編
今作でも三崎ワールド健在
ちょっと普通とは違う世界でおこる物語
9作品 どれも面白い
設定の奇妙さが効いてますね
全体として どこか悲しさがあり
何か失った者たちを描いているような
…