僕はあまり作家で読むということをしないので、基本的には面白そうだなと感じた本だけを読む。
で、この面白そうだなと感じるための基準が何かというと、それほど大した基準があるわけでもなく、あらすじの紹介文だったり、表紙の絵だったり、タイトルだったり、文庫ではない場合はこれに本の装幀が加わるけれども、だいたいこの三つのうちのどれかに引っかかったら読む場合が多い。
三浦しおんの『星間商事株式会社社史編纂室』の場合は新刊情報の一覧の中でみかけた一冊だったので、タイトルにひっかかった。そもそも「星間」である。作者の三浦しおんは『むかしのはなし』というSFに含んでも構わない内容の小説を書いていたこともあってその印象が強かったせいか、宇宙を意味する「星間」に惹かれたのだった。そんなタイトルのイメージから宇宙で輸送業をしている会社の社史編纂の物語で、宇宙で活躍する企業だけにさまざまなSFっぽいエピソードが満載の話だと勝手に想像してしまった。
が、そんな僕のカンも外れることはあって、そもそも「星間」は「セイカン」ではなく「ホシマ」と読ませるのだ。あたりまえのことだけれども、SFではない。
しかし、期待はずれかというとそんなことはなかった。
やる気がないわけではないのだけれども、完成が伸びに伸びまくっている社史編纂室の面々の面白おかしい物語で、社史を編集する過程で取材をすると誰もが口を濁してしまう空白の期間がこの会社には存在することがわかり、社史には載せられず闇に葬られようとする会社の黒歴史を、裏社史を発行することであきらかにしようとする物語は主人公が腐女子で同人誌を作っているという設定と重なる形で平行して進んでいく。
同じ作者の『舟を編む』は未読なのだが、おそらく『舟を編む』に対するアンサーソング的な物語なんじゃないかということで気楽に読むことができて楽しい一冊だった。『舟を編む』も読まないといけないなあ。
『星間商事株式会社社史編纂室』 三浦しをん


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