ライトノベルやアニメの世界では魔法少女がなにやらひとつのトレンドとなっていて、この物語もそれに乗っかったかのように思うかもしれないがそんなことは全くない。多分。
そもそもホラーというレーベルででているだけあって、グロテスクだ。第一話は特にそうで次々と人が死ぬ。それもあっさりとでしかも死んだり殺しあったりするのは小学生なのだ。
で、さらに輪をかけてこの本が異様なのは登場人物達の言葉遣いで、はっきりいって読みづらい。誤植かと思うくらい独特な言葉遣いなうえに登場人物の名前も変だ。もちろんまともな名前の人物もいるのだが、章によって名前の付け方が変化する。しかも時としておかしなところに(1)などという数字が入る。電子書籍で読んだのでフォーマットエラーかと思い書店で紙の本の方をチェックしたくらいだ。
しかしそういった苦行を乗り越えていくと、そこに描かれた物語の意外なまともさとSFにも通じる論理的な側面が見え始めてくる。
登場人物達が困っていることに対して、魔女が一回だけ魔法で解決してあげるというのが基本的な展開なのだが、その一回だけという制約が厳密な制約ではなく、一人一回だったり、さらにはその願いが、何回でも叶えて欲しいという願いでもOKだったりとアバウトなのだ。しかしそれは基本的にW・W・ジェイコブズの「猿の手」に通じる願い事が叶ってもそれは願主の希望通りの結果ではないというフォーマットでもあるのだが、そんなふうに理解したつもりで読み進めていくと作者に背負い返しを食らわされる。
こんないびつな物語でありながらも最後は感動させられるのだ。
コメント
キター! 矢部 嵩!・・・・・・紗央里ちゃんの家は 酷評が多かったけど 自分はおもしろかったわ・・・・おばさんが血だらけで出迎えとか・・・・超トラウマだったな・・・・
基本的にホラーは苦手なのであまり読まないのですが、ネットで評判が良かったので読んでみました。
デビュー作は……読まないかも知れませんが、今後の作者の出す本は場合によっては読んでみてもいいかなと思っています。